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Real Fantasy物語 ~勇者ジェミニの伝説 クリスタル探索冒険記~ -断崖絶壁 魂の対話篇- NEW!

 2025-07-26

 

 

前回のアレーシャの森編のお話はこちらからご覧ください。

 

 

アレーシャの森を抜けた2人のジェミニはドラゴンが住むという雪山に向かいました。

途中、霧の伝説が残るというキミゴロモ地方で足止めをくらった2人ではありましたが、不思議な体験を経ながらも無事に旅を続けていました。

そこからしばらく進んだ先で、広く高くそびえ立つ断崖絶壁の崖にぶつかりました。

 

「これ……上るのかい……?一体何メートルあるんだろう……フーコさんの小屋がある丘の何倍も高いぞ。」

光のジェミニは崖を見上げて呆然としながら言葉を吐き出しました。

その雲を突き抜けるほどの高い崖は、道を遮るかのように広く長くそびえたっており、どこまでも続く巨大な壁のようにも見えます。

 

「ねっ、ねえ、こっちの道から回っていったほうが安全じゃないか?こんなの落ちたら一巻の終わりだよ……!」

 「迂回するよりまっすぐ行ったほうが速いだろ。相変わらずビビってるのか、弱虫。俺はここから行く。お前は迂回すればいい。……もし途中でドラゴンがいたらお前1人で戦うことになるがな。」

「わ、わかったよ!登ればいいんだろ、登れば!でもちょっとストレッチだけさせてくれ……」

 

こうして数百メートルはあるであろう断崖絶壁を2人は登り始めました。

光のジェミニは恐る恐る、闇のジェミニはどんどんと崖を登っていきます。

鳥の鳴き声のような獣の唸り声のような、奇妙な声が時折響く中、ごつごつとした崖を長い時間登り続け、ようやく途中で休憩できそうな平らな場所を見つけた2人はそこでしばらく休むことにしました。

 

「~~ああぁ!なんとか生きてるね。……こんなに登ってきたのか!下を見ると足がすくむよ。……体力と傷の回復にテラスの村から持ってきた薬草を飲んでおこう。君の分も準備するね!」

 

「…………」

 

「……はいっ!お待たせ!」

 

「…………おい。なんでお前は世界のやつらを守りたいんだ?人は生きてれば死ぬ。魔物に襲われなくても、病気でも事故でも人間との戦争でも、いつかは死ぬ。そんなに必死に守ったところで仕方ないだろう。他人は誰も人のことなんて大して考えちゃいない。もちろんお前のこともだ。他人が生きようが死のうが関係ない。なんだかんだいって自分が一番だ。だからお前も勝手に生きればいいだろ。」

 

「そんなこと考えたことなかったよ。僕は育ててくれた村のみんなが笑ってたり楽しそうにしてたりする顔が好きなんだ。じいちゃんが大きな魚を捕まえて僕に見せてくれた時の誇らしげな顔、隣のうちのミーがはじめて魔法を上手く使えて喜んでる顔、僕が王国の戦士と剣の試合で勝った時の師匠の嬉しそうな顔、全部大好きだ。僕はそれを守りたいんだよ。

でもこれってさ、僕だけじゃなくて1人1人にもそういった相手が少なくともいるはずだろ?それを想像すると、どうしても他人事だと思えなくて。

君だって守りたい笑顔があるんじゃないか?」

 

「……俺は早くから一人で生きてきたからな。そういうのはない。拾った狼のシャルムくらいだ。」

 

「ほら、いるじゃないか。シャルムになにかあったら君だって悲しいだろ。狼だって一緒だ。

動物や虫、花、それぞれの命に感情があるのかはわからないけど、動物たちだって優しくされたら嬉しいし、満たされるんじゃないかな。そういう幸せを僕は守りたいんだよ。」

 

「そんなことを言っておきながら、お前は動物の肉を食うだろう?お前の命のためにほかの命を奪っているだろ!綺麗ごとじゃないか。」

 

「そうだよ!綺麗ごとなんだ……。悲しいけど、僕は肉も魚も大好きだ。どうしてもお腹が空いてしまうから、肉も野菜も食べてしまう。以前、僕がいなくなれば生きられる動物や植物もいるのかなって考えたことがあるんだ。でも、僕がいなくても、人間が生きている以上、それは決してなくならないと思った。結局僕はほかの命に生かされているんだ。虫が植物を食べ、その虫を小さな動物が食べ、そしてその動物を大きな動物が食べ、それを人間が食べる。そうやって命がつながっているんだ。」

 

「都合のいい理屈だな。だったら魔物にだって魔物の正義があるだろ。」

 

「魔物は自分の命のために人や動物を食べないだろ。あいつらはいたぶってるだけだ。」

 

「だったら、魔物が人間を栄養にしていたら、お前は仕方ないと思うのか?」

 

「いいや。その魔物をためらいなく倒すよ。蜂だって外敵に対して刺すだろ。虫や動物は自分やコミュニティを守るために攻撃する。僕も同じだ。」

 

「結局口だけじゃないか。お前だって、やってることはほかの人間たちと何も変わりゃしない。命を奪っているだろ。」

 

「そうだね……確かにそうかもしれない。自分を正当化し、守るために魔物を倒す。自分が生き延びるために他の命をいただく。それは事実だ。でもそうやって命がつながっているからって僕はそれを仕方ないだなんて思っていないよ。いつだって申し訳ないと思ってる。だからこそ、この命を無駄にはできないし、ほかの命のために使おうと思っているんだ。みんなが僕が生きるために命をくれたように、僕もみんなのためにこの命を使いたい。それが僕の使命だって、勝手に思ってるよ。」

 

「命をくれた?奪ったんだろ!!?」

 

「どうしてそうつっかかってくるんだい?」

 

「…………俺は、師を、唯一の育ての親を殺されたからだ。無実の罪をかぶせられ、おかしな理屈を並べ立てられ、俺がガキのころにそいつの命は国に奪われたんだ。だから俺は人を信じていない。」

 

「……そうだったのか。そんなことがあったなんて……。その悲しみは想像を絶するものだったろう。君に僕のことを信じてほしいなんて軽々しくは言えないけど、それでも自分の発した言葉には責任を持つし、せめて僕は、君に何かあったときは君を守るよ!さっきの霊獣の時みたいにね。」

 

「…………ふんっ、休憩は終わりだ!さっさといくぞ。てっぺんまでまだまだある。」

 

「よっよ、よし、行こうか。待って、もう1回お水飲んでおく!」

 

それから2人は再び崖を登り始めました。崖の頂上に近づくにつれ、だんだんと風が強くなる中を、お互いに横に並び、飛ばされないように少しずつ、同じ速さで確実に登っていきます。

そうしてなんとか崖を登り切り、ようやく崖の頂上にたどり着きました。

 

「あーーーやっと着いた!!すごいね、こんな高い崖を登り切ったよ!もう手に力が入らないや!」

光のジェミニは安堵の表情を浮かべ天を仰ぎました。

 

そして前を向いて進もうとした視線の先には、3メートルくらいの大きさはあるであろう鳥の巣らしきものがありました。

 

「う、うわあああドラコンドルだ!!!!」

「ちっ……!」

 

そこには、鋭い爪とくちばし、頑丈そうな鱗と大きな翼を持った巨大な鳥が道を塞いでおり、その鳥はギロリとこちらをにらみつけています。そして大きなけたたましい声で威嚇をしてきました。

 

「わわわわわ、こここ怖いけど、話せばわかる、話せばわかる……よな?」

「あちらさんはそんな友好的じゃなさそうだぜ。」

 

そういうと闇のジェミニは魔法を詠唱し始めました。

 

「待って、ジェミニ!!」

「分かってるよ!!殺さなきゃいいんだろ、くそ野郎!!!」

 

そう吐き捨てながら、闇のジェミニは今にもこちらにとびかかりそうなドラコンドルに、眠りの魔法を放ちました。

あっという間に目が閉じ、その場で眠り始めたドラコンドルの脇を2人は足音を立てないようにそそくさと抜けていきました。

 

「よし、ここまでくれば大丈夫だろ。」

「ああ、死ぬかと思ったよ……」

「このまま北に向かって進めば、雪山が見えてくるはずだ。先を急ぐぞ。」

 

ドラコンドルの巣から遠く離れた場所までたどり着き、無事に危機をくぐり抜けた2人は崖の上をつたい、北に向かって歩みを進めました。 

 

「……なあ、魔道士のジェミニ君。」

「気持ち悪い……なんだ?」

 

「さっきはありがとう。ドラコンドルを傷つけないでいてくれて。」

「!?……うるせえ。お前も眠らせるぞ。」

 

「え……待って、いま気づいたんだけど、崖を登ったってことは……次は同じ高さを降りるってこと???」

「当たり前だ!嫌ならドラコンドルと一緒におねんねしてるんだな。」

闇のジェミニはニヤリと笑みを浮かべました。

 

「わ、わかったよ、行けばいいんだろ、行けば!!でもちょっとストレッチだけさせてくれ!」

こうして2人は崖をおり、雪山のふもとの町、クリスタリアへと向かっていったのでした。

 

無事に崖をこえた2人は、そこである大きな事件に巻き込まれることになります。

そしてその事件によって一躍世界中にジェミニの名を広めることになるのですが、果たして何が2人を待ち構えているのでしょうか。

 

前回のアレーシャの森編はこちらから

前提のお話 勇者ジェミニの伝説 はこちらから

 

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