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Real Fantasy物語 ~勇者ジェミニの伝説 クリスタル探索冒険記~ -アレーシャの森編- NEW!

 2025-07-12

 

 

このお話は

Real Fantasy物語 ~勇者ジェミニの伝説~

の内容を深堀したエピソードとなりますので、まずは一度こちらをご覧になっていただけると

このページのお話の理解も深まるかと思います。

 

 

名前も姿かたちもうりふたつな2人、その名もジェミニ。

魔王を討伐する中で大きな力を求めて訪れた精霊の祠で、2人のジェミニは衝撃的な運命の真実を知ることとなります。

正義で臆病者の光の剣士ジェミニと冷酷で勇敢な闇の魔導士ジェミニは、魔王を倒す力を求めて、聖なる力を秘めたクリスタルを探す旅に出ました。

 

最初に2人が向かった先は1000年以上生きている魔女が住むというアレーシャの森でした。

クリスタルの手がかりを見つけるために、魔女にクリスタルの在りかを聞こうと考えたのです。

 

「ねえ、アレーシャの森の魔女って孤独な魔女って呼ばれてるあの伝説の魔女だよね。どんな人なんだろう……怖いのかなあ。花の魔女ナインみたいに優しい人だったらいいなあ。」

そんな光のジェミニの言葉に対して、闇のジェミニは冷淡にあしらいます。

「知るか。クリスタルの場所さえ教えてもらえりゃあどうでもいい。」

 

「あ、見えてきたよ。あそこがアレーシャの森だよね。」

 

アレーシャの森は昼間でも灯りが必要なほど暗く、魔女はその最も奥深くに住んでいるということでした。

光のジェミニはその不気味な雰囲気の森に尻ごみをしました。

 

「も、もう少し明るい時間に来ようよ。ほ、ほら、足元も見えないし、もっと灯りを持ってきたほうがいいよ。1つじゃ足りないな。君が3つ、僕が3つ灯りを持つよ。そうだ、予備ももっておかなきゃ。」

 

「なんだ貴様、怖いのか?情けない。こんなやつが俺と同じ魂だったなんて信じられないぜ。そこで待ってろ。俺が1人で行ってくる。せいぜいそこで魔物に襲われないことだな。」

 

そう言い放つと、闇のジェミニは森の奥深くにすたすたと1人で行ってしまいました。

光のジェミニは1人で残されたことが急に不安になり、慌てて闇のジェミニを追いかけました。

 

アレーシャの森に入ってしばらくすると、大きな魔法の力を2人は感じました。

そしてその力の方に向かってひたすら歩いていきました。

 

「くそっ、どこにいやがるんだ……同じところをグルグル回ってる気がするぜ。」

「暗くてまわりがよく見えないから余計にね。」

「うっとおしい森だな。燃やしちまったほうが早いな!」

そう言うと、闇のジェミニはあたりの木に対して炎の魔法を放ちました。

 

「ちょっと!!何をやってるんだい!!!こんなところで火を放ったらあっという間に火が回って森が死んじゃうだろ!」

「知るかそんなもん。木なんてどうせそのうちまた生えてくるだろ。」

周囲の木々は大きな炎に包まれましたが、まったく燃えることなく、火は消え去ってしまいました。

「ちっ、何か魔法のような力で守られてるみたいだな。」

 

それから2人はまた大きな魔法の力の方へ向かって歩き始めました。

 

数日間歩いたところで、ようやく1つの小屋を見つけました。

 

「こんなところに人が住んでいるなんて。」

光のジェミニは驚きました。

 

すると中からフードをかぶった1人の魔女が現れました。

フードに隠れていて顔はよく見えませんでしたが、その魔女からは近寄りがたい神々しいようなオーラを感じました。

「来たね、2人のジェミニ。クリスタルのことを聞きたいんだろ?」

魔女はジェミニが口を開く前にすぐに切り出しました。

なんと2人の名前も事情もすでに知っていたのです。

 

魔女の小屋に招かれた2人は、恐る恐る魔女についていきました。

 

「私はここにいても、魔法の力で世界のことを知ることができるんだよ。もちろん魔王のことも、そしてお前たちが魔王を倒そうとしていることも。」

 

2人は驚きました。

光のジェミニは魔女のその強い力に圧倒され言葉が出なかったため、闇のジェミニが話を続けました。

「魔王を倒すためにクリスタルの力が必要なんだ。どこにあるのか教えてくれ!」

 

「もちろんいいとも。行き方だって教えてやるさ。ただ、クリスタルはドラゴンが住む雪山にある。いまのお前たちの実力じゃ無理だろう。だからここから西にあるベリフィカの洞窟の奥にある、光る鉱石をとってくるんだ。いいかい、中でも一番光の強い鉱石を取ってくるんだよ?そこには霊獣が住んでるからそう簡単にはいかないし、お前たちの行動によっちゃあ命も落としかねない。ただ、これができなきゃそもそも雪山に向かったって同じことさ。どうする?」

 

「なるほど、予行演習ってわけかい。よしわかった、いますぐ行こう。霊獣なんて俺の魔法で倒してやるさ。」

 

「待ってくれ!ずいぶんと怖そうじゃないか!もう少し情報収集をして作戦を立てていこう!」

 

「行ってみなきゃわからないだろ。作戦なんて立てたって仕方ない。そんなに怖いならそこで待ってろ腑抜け野郎!!」

 

そう言い放つと、闇のジェミニはすぐに小屋を飛び出してしまいました。

 

1人残され、怖くて足が震える光のジェミニに対して魔女はこう言いました。

「仲間1人も守れないのに、お前は世界の人たちを守れると思うかい?」

 

その言葉にハッとした光のジェミニは灯りも持たずに、慌てて闇のジェミニを追いかけていきました。

 

ベリフィカの洞窟を進んでいくと、中には蛇やコウモリが生息しており、道をふさいできます。

「邪魔だな。全部焼き払ってやるか。」

「待ってくれ。この子達にとっては僕たちが余所者だろ?なんならお土産を持ってきたっていいくらいだ。だったらせめてこの子達を傷つけないように進もう。」

「ふん、くだらないな。」

そういうと、闇のジェミニは氷の魔法で蛇やコウモリを凍らせてしまいました。

 

さらに奥へと進むと明るい空間に出ました。

どうやら鉱石が光っているようです。

「やった、この鉱石のことだね!はやく持って帰ろう!」

しかし鉱石を持ち帰ろうとした途端、唸り声が聞こえました。

 

二人が声に目を向けると、そこには見たこともないような生き物がこちらを威嚇していました。

「うわあ、れ、霊獣だ!!」

2人の倍はあるであろう背丈、大きな角、霊獣というには不気味なオーラ、鈍く輝く瞳と鋭い眼差し、明らかに普通の動物とは違う姿かたちをしています。

「こいつが霊獣か。よし俺の魔法で消し去ってやるぜ。」

「ダメだ!!!」

「どうして止めるんだ、こんなやつ一瞬で消せる。」

「この霊獣は何も悪さしてないだろ!むしろ悪いのは僕たちの方だ。」

「すまない。寝ているところを邪魔してしまったんだよね。僕たちはこの鉱石が必要なんだ。君を邪魔する気はないんだ。この光る鉱石を少しわけてくれないか。代わりに僕のこのネックレスをおいていこう。」

 

霊獣は2人に向かってこう言いました。

「無礼者が。貴様たちは先ほどここの生き物に危害を加えただろう。だから貴様らどちらかの命をいただこう。俺の大切な鉱石はそれと引き換えだ。」

低く響くような声を発した霊獣は、足で地面をドスンドスンと踏み鳴らしこちらを威嚇してきます。

 

「ふざけやがって、やはり消してやる。」

「待て、やめろ!なんでもかんでも武力で解決しようとして。それじゃあ魔物たちと同じじゃないか!君は人間じゃないのか!??ここで戦っても犠牲がでるだけだ。君が犠牲になることも、霊獣が犠牲になることも僕は望んじゃいない!」

「僕は世界の人たちを守りたい!!でもその前に君1人すら守れないなら、そもそも世界を守る資格なんて僕にはないんだ!!ここで命を終えても大して変わらない!!僕は確かに弱虫だけど、勇敢な君の道を開くための力くらいにはなってみせる!!!」

 

そう叫ぶと光のジェミニは霊獣にむかって大きく手を広げました。

 

「馬鹿が、くだらない!貴様が死んだら俺の魂が完全にならないだろうが!!」

 

覚悟を決めた光のジェミニには闇のジェミニの声はもう届きません。

 

「いいだろう、望み通り貴様の命をいただくことにしよう。だがその前に1つ問おう。貴様はなんのためにここに来た?」

「魔王を倒し、世界の人々の笑顔を守るためだ!!!その途中に、魔女からの試練でこの洞窟に鉱石を取りに来ただけだ!!」

光のジェミニがそう叫ぶと、場は静まり返り沈黙が続きました。

 

霊獣は光のジェミニの目をじっと見つめました。

ジェミニも目をまったくそらすことなく霊獣の目を見返しました。

 

すると不思議なことに、霊獣は光る鉱石に姿かたちをかえ、2人の足元に落ちてきました。

それはあたりのどの鉱石よりも強く明るい光を放っていました。

 

「た、、たすかったああああ、怖かった。。。」

光のジェミニは腰をぬかしてその場に座り込んでしまいました。

 

闇のジェミニは、光のジェミニの震える足とその場に落ちたひときわ明るく光る鉱石を見て、

「ふんっ」と鼻で笑うと、そのまま一人で出口のほうに歩いて行ってしまいました。

 

帰り道、光のジェミニが洞窟内の来た道を引き返していると、凍っていた蛇やコウモリは元通りになっていました。

光る鉱石をもって魔女の小屋に戻り、洞窟内で起こった出来事をすべて話すと、魔女はうっすらと笑みを浮かべてクリスタルの在りかや行き方を教えてくれました。

灯りに照らされた魔女のその顔は、1000年生きたとは思えないほど若く、瞳は青く輝いていました。それから魔女は見たこともないようなお菓子と飲み物を振舞ってくれ、最初に会った時のような近寄りがたいオーラはおさまり、穏やかで優しい口調で世界についてのことや、神々や精霊の話をしてくれました。

 

その小屋で一晩休息をとった2人のジェミニは翌朝、魔女にお礼を言い、2人そろって小屋を出ていきました。

魔女は暗い森の中を並んで帰っていく2人の後姿をいつまでも見送りました。

 

 

クリスタルを求め雪山に向かう2人はその途中で断崖絶壁にぶつかることになります。

回り道をしようという光のジェミニと、そのまま登ったほうが速いという闇のジェミニ。

果たして2人は無事に壁を乗り越えていけるのでしょうか。

 

(断崖の魂の対話篇につづく)

 

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