インタビュー ~作家 ヒカリノ魔法具店さん(後編)~ NEW!

2025-07-30
当サイトにクリエイター登録していただいた記念すべき一番最初の作家様、ヒカリノ魔法具店さんのインタビュー後編です。
前編では、ヒカリノ魔法具店の立ち上げの経緯や創作活動に対する考え方、こだわりをお聞きしました。
大変なご苦労や貴重なご経験をされている中でのその考え方や行動力は大変興味深いものでした。
(前編はこちらをご覧ください)
さて、後半はヒカリノ魔法具店さんの代表作、サンキャッチャーのお話を中心に伺ってみたいと思います。
それでは後半スタートです!
インタビューは対話形式にてご紹介していきます。
(敬称略)
ジェミニ:
ヒカリノ魔法具店さんといえば、やはりサンキャッチャーのイメージが強いのですが、どういった経緯で生み出された作品なのでしょうか?
ヒカリノ魔法具店:
ある時、ふとサンキャッチャーが部屋に欲しいなと思い、せっかくなら自分が好きなものを詰め込んだデザインにしたいなと、お気に入りのガラスビーズ・螺旋階段からインスピレーションを受け、少しずつ技術面も身につき、4年かけてようやく現行デザインが完成しました。
(当サイトに一番最初にご登録いただいたサンキャッチャー「彩光円舞曲/サイコウワルツ」)
ジェミニ:
技術的な部分は人に聞いたり、習いに行ったりするんでしょうか?
ヒカリノ魔法具店:
誰かに聞くというよりもYouTubeを見て、初歩的なところからはじめて、ちょっとづつ応用させてという感じで。そうですね、先生はYouTubeですかね。
基本的には自分で情報を集めて、やってみて、試行錯誤して、それでできないところをまた情報をとりにいって、みたいな繰り返しですね。
私はきっと実験が好きなんだと思います。
例えば、話は少し違いますが、料理とかも料理が好きというよりも実験みたいで好きなんですよね。
最初はレシピ通り作って、そこからいろいろアレンジさせていくのが楽しくて。分量をかえるのって魔法薬の調合みたいじゃないですか?そういう意味でいろんな実験していくのが好きなんだと思います。
私はまず自分でやってみたくなっちゃんですよね。それでいろいろ失敗して、「失敗した!」っていうのも楽しいと感じますし。
私自身は知識がほとんどない人間なので、だからこそ、子供のようにモノを作るのが楽しいって思えてやっているのかもしれないですね。
ジェミニ:
ヒカリノ魔法具店さんの作品にはオリジナル技術が使われているものもありますし、こだわりの強さをとても感じますが、何か意識されていますか?
ヒカリノ魔法具店:
そうですね、魔法道具ってどんなに自分っぽくしてるといっても、どうしても雰囲気が似ちゃうじゃないですか?
なので、先に作っていらっしゃる方はどう思うのかなと、考えちゃうんですよね。
もちろん、商売としてやっていれば似てる、似てないということは出てくる話ではあると思うんですけども、やっぱり作家として、作り手として、そういうのも考えなくちゃいけないし、だったら私は誰もやったことがないようなもので、かぶらないものを作る方がいいなと思ってやっています。
それにこれは自分にとってある意味挑戦でもあるんですよね。作るのが楽しいので、できないものを作るというワクワク感を自分でも楽しんでいて、それができて生まれた作品を通してお客さんとやりとりすることもすごく楽しくて。
なので、できるだけ自分しか作れないとか、0からできるだけ作るとか、デザインはああいうのはないなとか、そういったことを意識して作ったりしてますかね。
ジェミニ;
なるほど、ファンタジーだけの話ではないと思いますが、1次創作としての問題がやはりあるのですね。
ヒカリノ魔法具店さんは新しい作品を生み出す時はどのように取り組まれるのでしょうか?
ヒカリノ魔法具店:
私は絵心がなくて、デッサンができないんですけど、頭の中で妄想だけは大得意なので、常に頭の中で妄想して、こんなの作ったら面白いかな、といったイメージをもとに実際に手を動かしながら作っていく感じですね。
例えばペンデュラムだと、モールドを買って「私はどういうものを作りたいんだろう」っていうところから始まって。市販のモールドだから誰かとかぶらないようなデザインにしないと、それはもともと作っていらっしゃる方に対しても失礼にあたっちゃうかな、似てると思わせてしまったら申し訳ないなと、そんなことを考えながらできるだけかぶらないで、見たことがないもの、誰も作っていないものでイメージを膨らませていく感じですね。
ただ、技術が伴わなくて、イメージしたものをどうしても形にできないこともあります。それでサンキャッチャーは4年くらいかかったのですが。
(お客様のニーズに応えて生み出されたというコンパクトサイズのサンキャッチャー)
ジェミニ:
そうすると、完成までに試作品がたくさんある感じなのですかね?
ヒカリノ魔法具店:
そうですね。失敗作いっぱいありますよ。やっぱり作っては、ここをもっとこうしようとか、作ってはやっぱりここはさっきの方がよかったなとか、そんな風にどんどんやっていって、ようやく形にする感じですね
ジェミニ:
どのくらいの期間を使って作品を生み出しているんでしょうか?
ヒカリノ魔法具店:
数週間、1か月から、長くて4年、5年とかですね。
ジェミニ:
きっとすさまじい集中力が必要ですよね。
ヒカリノ魔法具店:
すごく集中しますね!気づいたら「あ、夕飯作んなきゃいけない時間じゃん」とか、ほかに予定が入っているのにすっかり忘れてたりとか。できの悪いお母さんですね(笑)それくらい入り込んじゃいますね。
ジェミニ:
そうですか。でも、お子さんたちも作品は喜ぶんじゃないでしょうか?
ヒカリノ魔法具店:
いい感じにできると、まず最初に子供たちに見てもらうんですよね。それで結構素直な意見が返ってくるんです。「いいね」と言われたら、「あ、これでいいんだ」と素直に思うし、「ここもうちょっとこうした方がいい」って言ってきてくれることもあるので、その時はもっとよくできないかを考えてみます。魔法系のアイテムは子供たちも好きなので、たまに「ちょうだい」とかさらっと言われることもあります。
ジェミニ:
顧客の声に近いものが返ってくるのは貴重ですね!
ヒカリノ魔法具店さんご自身の子供時代はどんなふうにお過ごしでしたか?
ヒカリノ魔法具店:
私はひとりで遊ぶのが好きだったかもしれません。友達と外で遊ぶのも好きだったんですけど、1人で遊ぶときはテントを作ったりとか、キャンプごっことかやってました。部屋の押し入れの中を全部出して、基地作って、そんなことして遊んでましたね。
ジェミニ:
当時、何か影響を受けた作品はあったのでしょうか?漫画やアニメ、ゲームとか。
ヒカリノ魔法具店:
やっぱりファイナルファンタジーですね。
私、ゲームに出てくるモンスターのトンベリが好きでして。見た目かわいいのに、すごく強いんですよね。そのトンベリが持ってるランタンがとてもインパクト強くて、私も作ってみたいなと思ってランタンをオブジェで作ったこともあります。
ファイナルファンタジーの世界観が好きなんですけど、私だったらファイナルファンタジーをどう作るかな、とか考えたりもします。私だったらどうするかな、どんな世界が楽しいかなって、妄想するのが好きで、私が作ってるセーブポイントもそういった妄想から来てますね。
(ヒカリノ魔法具店さん作のセーブポイント)
ジェミニ:
ありがとうございます。ここまでいろいろと赤裸々にお話をしていただけましたが、
それでは最後に、これからチャレンジしたいことがあればお伺いできますでしょうか。
ヒカリノ魔法具店:
キラキラしたサンキャッチャーを見てもらいたいなというのが夢ですね。
この前グループ展でサンキャッチャーを展示したんですけど、あいにくこの時期なので晴れなくて。
だから一番は、サンキャッチャーの一番きれいな状態を生で見てほしいというのがありますね。せっかく足を運んでくれたお客さんにお見せできなかったので、またいつかはそういうことができる機会があったらいいなと思ってます。
ジェミニ:
これは興味深いご回答でした。こういう作品を生み出そうとか、こういうふうにショップを伸ばそう、とかじゃないんですね。
ヒカリノ魔法具店:
ショップを伸ばすとかも、もちろん考えなきゃいけないところですよね(笑)
でもきっと私自身はキラキラした空間が一番見たいんだと思います。最高に輝かせたサンキャッチャーを見たい。作品が子供みたいな感じといえばいいんでしょうか。
ですので、最大限にいい状態のサンキャッチャーを是非お客様にも見ていただきたいですね。
さて、いかがだったでしょうか。
インタビューを通して、常に行動と失敗を繰り返しながら愚直に前に進んでいる様子が垣間見えて大変印象的でした。
その行動力と、それを支える興味や好奇心のエネルギーが原動力となっているのだなと感じられたと同時に、病気の話からもその力はクリエイティブな活動だけでなく人生においての大きな力になるものなのだと、お話を通して私自身もあらためて感じることができました。
ヒカリノ魔法具店さんであれば、チャレンジのお話もあっさりと叶えてしまいそうですね。
今回は貴重なお話をありがとうございました。
(前編はこちらから)
そんなヒカリノ魔法具店さんのアイデアとワクワクと思いの詰まった作品を、是非サイト内でもチェックしてみてください。
また、ヒカリノ魔法具店さんのショップサイトはこちらからご覧いただけますので、合わせてチェックしてみてください。