インタビュー ~作家 ヒカリノ魔法具店さん(前編)~ NEW!

2025-07-26
今回は、当サイトにクリエイター登録していただいた記念すべき一番最初の作家様、ヒカリノ魔法具店さんにインタビューをさせていただきました。
創作活動におけるこだわりや考え方など、非常に勉強になるお話もお伺いできました。
前編と後編の2回にわたってご紹介してまいります。
ファンタジーファンの皆様にもクリエイター活動をしている方にも何かヒントになるようなお話なのではないかと思いますので、是非とも最後まで楽しんでご覧ください。
インタビュアーはReal Fantasy運営のジェミニです。
それでは早速スタートです!
(以下、敬称略)
ジェミニ:
まずはあらためて、自己紹介をお願いできますでしょうか。
ヒカリノ魔法具店:
ヒカリノ魔法具店と申します。
「光魔法」をコンセプトに、心の癒しを感じていただけるようなものづくりを目指して、活動しています。
ジェミニ:
お店に込められた思いなどがありましたらお伺いできますでしょうか?
ヒカリノ魔法具店:
今のこの時代って殺伐としていて、心が病んでる方が多いなあって思うんですよ。
なので、そういう世間の様子を見てきて、自分も何かできないかなと、ちょっとした癒しを提供できないかなと考えていたことがありまして。
そんな中で、光照らされるものって癒しのイメージに繋がるので、そういうものを作っていきたいなと思って活動をさせてもらっています。
ジェミニ:
作品作りを始めたきっかけはどのようなものでしたか?
ヒカリノ魔法具店:
もともと2010年ごろから天然石ブレスレットの販売をメインでやっていたんですね。
本当に不思議な話なのですが、その当時、私のSNSをご覧いただいたBARのマスターの方から、「BARで個展しませんか?」とお声掛けいただいたんです。当時の私は、天然石ブレスレット販売メインの状況でした。そんな私にそのマスターは何故「個展を」と仰ったのか、今でも不思議過ぎます(笑) 今考えると、その時の私もお断りすれば良かったのに、「よろしくお願いいたします!」と返事をしてしまったんです。
とはいえ、天然石ブレスレットのみの個展じゃお客様も楽しめないし。マスターのBARのコンセプトが「ゴシック&ロリータ」で、元々自身がファンタジー世界が大好きだった事もあり、それなら魔法アイテムを創って、個展で並べよう!と。そう思って、ファンタジー作品も少しずつ作るようになりました。
…今思い出すだけでも、色々無茶苦茶な自分すぎて、ただただ恥ずかしくなります(笑)。
(過去の作品たち)
ジェミニ:
すごく素敵なご縁ですね!
天然石のブレスレットの活動はいかがでしたか?
ヒカリノ魔法具店:
もともと天然石に強い興味があって始めたわけではなく、いろんなきっかけがあってスタートをしました。
その中で昔一度、間違って本物だと思っていた天然石で作った作品をお客様に売ってしまったことがあったんですね。
それで「なんてことをしてしまったんだ!」と悔やみました。
自分に知識がなかったし、売れればいいやと当時は思っていたところもありましたし、そのことがきっかけで、「これじゃいけない!」と思って、そこから勉強を始めました。
ジェミニ:
失敗をきっかけに作品作りにも磨きをかけていったのですね。
ヒカリノ魔法具店:
作品作りをしていくうちにだんだんとオリジナリティの意識が強くなりました。
ある時、流通している天然石ビーズ・金属パーツを使用しただけのブレスレットなのに、オリジナルデザインと謳っていた自分の烏滸がましさに気づいたんです。オリジナルブレスレットと言うからには、ゼロから自分で作ったビーズを作らなくては!でも、どうやって作ろうか…そうして目に止まったのが、当時流行り始めたUVレジンでした。もちろん、その頃はレジンボール用モールドは存在しなかったので、作ったUVレジンの半球同士を貼り合わせ、綺麗に研磨し、通し穴も開けていました。このレジンボール作りが、今の活動の原点です。
ジェミニ:
レジンの使い方は誰かに教わったりしたのでしょうか?
ヒカリノ魔法具店:
どこかに習いにいったりとかはしていなくて。最初はYouTubeとか見ながら、「なるほどUVレジンはこうやるんだ」とかから始めて、いろいろと試しながらちょっとずつ独学でやってきました。
ジェミニ:
その中で、どういうきっかけでヒカリノ魔法具店としてスタートすることになったのでしょうか?
ヒカリノ魔法具店:
実は、2022年の3月に髄膜炎で入院したんですが、その時の出来事がきっかけになっています。
私はあまり考えないでとにかく動く性格なのですが、病気をきっかけに急に動きを止められてしまって。その時に、「あれ?私どうやってお金を稼いできてたんだっけ?」って、急に不安になってしまいました。とても不安だったので、「自営業として何かを作ることよりも、外に働きにいったほうが安定してるじゃん」とか「私って何やってるんだろう、今まで何やってきてたんだろう」っていう気持ちが強くなってきて、自分のことがよくわからなくなってきちゃったんですね。それまではただ何も考えずに突き進んでいたんで。
いま振り返ってみても、その時が作家としても一番のスランプで、とても苦しい時期でした。
退院してからも、熱が出ることを繰り返していて、なかなか普通の体に戻りませんでした。脳にダメージがあったのか、うまく動かなくて、いつも以上に言葉もうまく出ないし、メールとか文章を書くのも考えられないし、とても落ち込みました。
ただ、これは自分の性格なのかもしれないんですけど、あるとき急に「悩んでいたってしょうがないじゃん!」って思ったんですよね。「もう、やるっきゃないじゃん!」、「私考えても何も変えられないし、持ってるものも何もないんだから、とりあえず動いてデザフェス申し込んじゃえばいいじゃん!」っていうふうに気持ちを切り替えて申し込みをしたんですけど、そしたら今までずっと続いていた熱が下がったんですよ!もうわけがわからないんですけども。もしかすると、たまたま熱が下がっただけだったのかもしれなかったんですが、それで申し込んだデザフェスも当選したので、その時に、じゃあ気持ち切り替えていかなきゃって思って、それでヒカリノ魔法具店っていう屋号にしたんです。
その倒れた年の夏、8月8日にヒカリノ魔法具店でXも立ち上げて。
私の中ではスランプでどっぷり下までいっちゃったので、そこからはもう上にあがっていくしかない、ヒカリノ魔法具店の屋号を作ったこの瞬間をゼロとしてまた頑張って作っていこうかなと私の中で思えた、というのが立ち上げの一連の出来事でした。
ジェミニ:
とても壮絶で、神がかったようなエピソードですね!
ヒカリノ魔法具店さんは作品作りにおいて、何か大事にしていることはありますか?
ヒカリノ魔法具店:
いろんな考え方があると思うんですけど、私はものを作り出した時、その中には作った人の魂というか、念とかそういうのが入っていると思っているんです。
作品を持った人が笑顔になって欲しいなとか、綺麗って言ってもらえたら嬉しいなとか、傷ついてる人や心がモヤモヤしている人をホッとしてあげられるものが作れたらいいなとか、できるだけそういう思いやワクワク感をもって制作活動をするようにしています。
もちろん自分の心の波もあるんで、イライラしている時とかはあまり手を付けないですし、自分の気持ちをリセットさせて、魔法が出てくるようなアニメとかを見てワクワクしながら作るとか、とにかく自分の気持ちをコントロールして、モチベーションを上げながらやるようにしてます。
ジェミニ:
なるほど。つまりその制作段階の時点で、ヒカリノ魔法具店さんの気持ちの面からも光の魔法がかかっているのですね。
ヒカリノ魔法具店:
そういうイメージでやってます。「ヒカリノ魔法具」っていってるくらいなので、自分もすさんだ心ではいけないなって。誰も見てないんですけど、勝手にそう思ってやっています。
(実際の作業デスク)
(デスクにも飾られているお気に入りのミュシャ)
・・・後半へ続く・・・
後半では、ヒカリノ魔法具店さんの代表作であるサンキャッチャーについて、そして新しい作品を生み出す秘訣について迫ってみたいと思いますので、どうぞお楽しみに。