インタビュー ~作家 石野/MACRAME KANOさん(前編)~ NEW!
2026-02-08
今回は、「マクラメ編み」という技術で独自の幻想的な世界観のアイテムを生み出している作家様で、当サイトに作家登録をしていただいている石野さん(石野/MACRAME KANO)にインタビューをさせていただきました。
ご自身が不器用だと語る石野さんの努力の仕方や考え方、スランプの乗り越え方など、とても学びの多いお話をお伺いできました。
前編と後編の2回にわたってご紹介してまいります。
インタビュアーはReal Fantasy運営のジェミニです。
それではスタートです!
(以下、敬称略)
ジェミニ:
まずは自己紹介をお願いできますでしょうか。
石野:
マクラメアクセサリー作家の石野と申します。よろしくお願いします。
ジェミニ:
まずはマクラメについて、どういったものなのかを教えていただけますでしょうか。
石野:
マクラメは起源はハッキリとは分からないのですが、発祥が南米のほうらしくてですね。糸を使って模様を編んで装飾を作る技法のことをマクラメといって、その技法を使って作ったアクセサリーのことをマクラメアクセサリーと言います。
ジェミニ:
へぇ、南米なのですね。
石野さんはマクラメ暦はどのくらいですか?
石野:
今年で14年目になります。
ジェミニ:
そんなマクラメと石野さんとの出会いはどういうものだったのでしょうか?
石野:
最初に出会ったのが、私が中学3年生くらいだったと思うんですけど、両親が出雲大社に二人で遊びに行ってて、その時に近くの博物館か美術館かに寄った時のお土産でブレスレットを買ってきてくれたんですね。翡翠のお花がついた赤いブレスレットだったんですけど、すごく編み目が綺麗な、編んであるブレスレットで、これがマクラメ編みっていうものなんだよって教えてもらって。それがマクラメとの最初の出会いでした。
ジェミニ:
お土産としての出会いからマクラメの存在を知ることになったわけですね。
石野:
そうなんです。でも、そこから大人になるまで一度マクラメのことは忘れてるんですよ。
それで大人になって、「ハンドメイドをやってみよう」って思ってた時に、いろいろと調べていたんです。ものを売るときに、お客さんは何を入力して検索するかっていうのを考えて、ハンドメイドサイトで検索してみたときに、当時はパワーストーンとブレスレット、天然石とブレスレットの組み合わせでたぶん検索したと思うんですけど、そうすると、商品数だけで14万件出てきちゃって!その中から自分の全く無名で箸にも棒にもかからない初心者のものを見つけてもらうのは不可能だなって思ったんです。
ジェミニ:
14万件!?
石野:
そうなんですよ。だからなんか違ったものを作っていかないと見つけてもらえないし、仕事にはならないなって思って。どうしようかなと思った時に思い出したのが、マクラメだったんですね。そこに繋がっていきます。
ジェミニ:
時を超えて繋がったわけですね。
そもそもハンドメイドをやろうと思ったきっかけはなんだったのでしょうか。
石野:
そうですね。私は外に出て働くのが割と厳しい片田舎の辺境に住んでいるので、家でできる仕事をしたいなって思ったのが1つの理由です。もう1つは、それまで文章を書く仕事をしてたんですけど、ちょっとこれだけじゃ食っていけないなっていうところで、当時ハンドメイドブームの全盛期だったんです、ちょうど。いろんなハンドメイドのサイトが出来始めてたちょうどいい時期だったので、これに乗っかってみようって。そこからスタートしました。
ジェミニ:
そういうことですか。じゃあ、ハンドメイドのスタートがマクラメだったんですね!
それまで、ちょっと何かを作った経験があったとかではなく、いきなりなのですね。
石野:
実際に作ろうかなと思って1年くらいは独学で修行はしてるんです。やっぱり初心者がちょっと作ったへなちょこなものは売れないなって思ったので、夜な夜なですね。当時は教本とかも特になくて、インターネットにも今ほどたくさん情報があるっていうわけではなくて、あとはYouTubeで検索かけても見つからないんですよ、日本語だと。なので夜中の2~3時ぐらいまで起きて。翻訳ソフトを使って、英語とかポルトガル語で検索をかけて見つけて、自分で練習をしていくっていう期間があって。
今みたいに教えてくれるところもないし、教える人もいないので、自分でやるしかなくて。でも作ったからといってすぐ売れるってわけじゃないですから、作ったものをこんなの作ったよっていうのを、当時ブログをやっていたのでブログで公開はしてたんですね。
そしたら、「これ売ってみたら?」って言ってくれた方が何人かいらっしゃったので、それでハンドメイドのサイトに出すっていう、そういう流れですね。

(普段使用しているデザイン帳やワックスコードなどの道具たち)
ジェミニ:
すごいバイタリティですね!!
石野さんはもともと手は器用でしたか?
石野:
いや、私本当に不器用です。裁縫が本当に壊滅的にできないんですよ!
ジェミニ:
え、意外ですね。
石野:
裁縫で、ボタンを縫うとかはできるんですけど。ミシンの上糸と下糸がぐちゃってなった瞬間にもうやめたいって思うくらい嫌で。指先は器用じゃないんで、木工を学校でやらされてたら設計図書いたりするじゃないですか。実際に切るとなんか数ミリ絶対ずれてたり斜めになったりとかするぐらい本当にできなくて、だめですね。指先は全然器用じゃないです。
ジェミニ:
ということは、もう相当に練習したってことですよね。
作品が伝統工芸品みたいな精巧さがあるので、器用なのかなと思ってたんですけども。
石野:
そうです。めちゃくちゃ人より習得が遅いっていうのを頭に最初に入れて、これは人の数倍以上時間かけて練習するしかないと思って練習しました。
ジェミニ:
ものによると思うんですけども、一つの作品にはどれぐらいの時間がかかるものなんでしょうか。
石野:
例えば、わりとシンプルなタイプのほどほどの編み込みのブレスレットだったら、30分から45分くらいで作ったりもできます。

(登録作品:星屑の魔石のブレスレット 〜星詠みの魔女の必需品〜)
ジェミニ:
え!?あの細かいことをそんな短時間でやるんですか!?
石野:
できます。編み目を均一にして太さも幅があるものをっていうふうになると、例えばバングルタイプみたいなものだとやっぱり4時間とかかかっちゃうんですけど、オーダーがフルオーダーでなければそんなにはかからないです。ただ気力がいるので、ご飯を食べずに一気に仕上げてます。
ジェミニ:
相当な集中力が必要そうですね。
もちろん休憩を挟んでやりますよね??
石野:
休憩を挟む場合は、例えばそのデザインがあまり変則的でないものは休憩が挟めるんですけど、例えば上のデザインと下のデザインが違うとか、右と左でデザインが違うとかっていうものは休憩入れたりとか、全くシンメトリーで左右対称バランスも全部揃ってるタイプに限っては、もうノンストップでやらないと編み方を間違えちゃうので、こここっちで同じようにやったら反対側も同じような工程で編まないとちょっとずれちゃったりするので。その時はもうご飯も食べずにノンストップで、ノン休憩でやります。
ジェミニ:
なんか、魂が抜けそうですね、それは。
石野:
4時間くらいが限度です。そこまでいったら休憩します。

(実際の制作風景)
ジェミニ:
ファンタジーなマクラメアイテムとしては、はじめた当時にも他に作っている作家さんがいたんでしょうか?
石野:
6年以上前のデータ調べた限りだと、やっぱりファンタジックな作品を作ってる作家さんも何名かいらっしゃいました。今もたぶん続けていらっしゃるのかな。例えば、タロットカードか何かを引いて、そこにパッと出ている模様と同じものを作って、それを組み合わせてペンダントにしたりとかっていうのを見たことがあったりします。
ただ私、今は人の作品をできるだけ見ないようにしているんですけども、初期の頃はすごい検索かけて調べまくってデータをとっていましたが、もう6年目超えてから、見るのをやめようと思って見なくなりましたので、今はちょっと分かりませんね。
ジェミニ:
その6年目で他の方の作品を見なくなったっていうのは、何か理由があるんでしょうか?
石野:
はい。あのですね、やっぱり見てしまうと結構心にくるんですよね。上手い人って本当に天井知らずでめちゃくちゃ上手くて。どうしても目に入っちゃうと自分と比べちゃうんですね。この人はこんなにすごいのを作ってるのに、自分はまだこの辺、みたいな。そうするとやっぱりこうスランプに陥ったりとか、メンタルにガクッときてしまうんです。そうすると、意欲が湧かなくなってしまうので、なるべく目に入れないようにして、別ジャンルの人のものを見たりとか、別ジャンルの人の作品を見て全く違うものを見てインスピレーションをもらったりとかしてます。
ジェミニ:
なるほど。石野さんは作品作りをされていて特に大事にしていることかとか、心がけていることはありますでしょうか。
石野:
はい。1つ目が日常使いしやすいかどうかっていうのが一番大事で、2つ目は実用性がありながら装飾的な美しさがちゃんと整っているかどうかってのもすごい大事にしてますね。使えてなんぼみたいな。
ジェミニ:
そこは誰かに意見や感想を聞いたりするんでしょうか。
石野:
意見とかは聞かないのですが、作った後にどうだったかなっていう反応はちょっとやっぱり気になって追っちゃうんですけど、結構見てもらえたものであったりとか、数値的に反応が良かったものっていうのは記録で残しておいて、それを後々またリニューアルするか、組み合わせたりとか、ちょっと変えたりして、もう一回ちょっと似たデザインを出したりとかはあります。
ジェミニ:
石野さんといえば、SNSからも石へのこだわりや愛情をすごく感じるのですが、是非その石についてのお話を聞かせてください。もともと石は好きでしたか?
石野:
ちっちゃい頃から好きでしたね。キラキラしたものが好きなので。昔は新聞の中に絶対チラシが入っていたじゃないですか。その写真の中にすべすべの宝石だけが表も裏も印刷されてるものがよく入ってたんですよね。それをくり抜いてテープを貼ってブレスレットにしたりとか、ネックレスにしたりして遊んでたりとか、あとはお母さんの触ってはいけない宝石箱の中をのぞくのも好きでした。あとはやっぱりセーラームーンの影響ですね。

(マクラメ作品になる前の原石たち)
ジェミニ:
そういった当時の好きなものが、マクラメの技術と繋がって今の作風が生まれたのですね。
石野:
そうですね。しかもどうやら地元が結構水晶の産地だったらしくて、川に行ったりすると割と石英はよく見つかってたんですが、たまに水晶のかけらとか黒水晶とか見つかったりとか。ちょうど中学校に入った時に日本全体がパワーストーンブームになっちゃって、あっちにこっちに石屋さんができて、どっか連れて行ってもらう度にどこでも石屋さんがあるんですよ。そうこうしてたら祖父が「好きやろ」って言って鍾乳石をくれたりとか、石が集まってきて。その流れが少しずつ繋がっていって、気が付いたら今ここにいる、みたいな感じになっています。
・・・後半へ続く・・・
後半は幻想的な輝きを放つ「石」たちのお話や、石野さん流の困難の乗り越え方、そして作品の人気の秘密に迫ります!
(後半は2/11に公開予定)